J-POPとは

J-POP(ジェイポップ)は、FMラジオ局のJ-WAVEによって作られた、日本のポピュラー音楽を指す言葉である。「J」はJapanのJ。これにポップ・ミュージックの「POP」を組み合わせたもの。

1988年

J-WAVEの斎藤日出夫常務(現・代表取締役専務)がレコード会社の邦楽担当者らと会議を行い、「J-POP」という言葉が誕生した。この名称はマスメディア上のカテゴリーのひとつとして誕生し、それにふさわしい音楽を売り手側が分類しているという点において、グラム・パンク・グランジ・オルタナティブ・ロック・ヒップホップなどといった他の音楽ジャンルと異なる、大きな特徴といえる。一般に使用されるようになるまでにはしばらくの歳月を要し、定着したのは1993年から1996年頃にかけてである。

1990年代

1982年に登場したCDおよびその再生装置の爆発的な普及により音楽市場が一気に拡大し、売り上げは右肩上がりを続けて1991年に初の4000億円台を記録すると、1998年の6074億9400万円まで史上最高を更新し続けた。生産量も1991年に3億枚を突破、1993年に4億枚を突破するなど成長を続ける中で、個人としても1977年に阿久悠が記録した1172万9000枚の売り上げ記録を、1993年に「負けないで」(ZARD)の作曲などで知られる織田哲郎が16年ぶりに更新した。J-POPという言葉はこの頃からようやく一般の雑誌などでも見かけるようになり、一般庶民にもそれらの媒体を通して徐々に浸透していった。

CDをはじめとしたデジタル技術は音楽制作現場においても革変をもたらした。デジタル技術による音楽制作は人・時間・予算の大幅な削減を可能にし、楽曲の大量生産が可能となった。また、シーケンサーやサンプリング・シンセサイザー、MIDIなどの技術により楽器を実際に弾く事無く楽曲を作成する事も可能となり、その技術にいち早く注目し実際に成功を収めたミュージシャンとして小室哲哉がいる。しかし、制作環境のデジタル化に伴いそれまで製作現場で実際に楽器を演奏していたスタジオミュージシャンの仕事が激減するなどの弊害も生まれている。こうした制作環境の変化に伴う大量生産による音楽制作は確かにミリオンヒットが出現する確率は高まるが、没個性化・質の低下が進み、音楽が消耗品として見られるようになるなど、批判の声もある。ソニー・ミュージックエンタテインメント(当時)の坂本通夫は、1991年を音楽業界の転換点として「音楽が作品から商品に移り変わった時」と語っている。
そして1992年ごろから「ミリオンセラー」という現象が続発するという事象が発生しはじめる。1991年のミリオンセラーは9作品(シングル・アルバムの合算数。以下同様)、1992年は22作品、1994年にはその数は32作品を記録した。また、トップ10のアーティストだけで年間売り上げシェアの4割を占めるなど、先の楽曲の大量生産と相まって一握りの成功者と、その他という図式が出来上がるようになった。
90年代の日本の音楽史を語る上で重要なキーワードとしてKDDというものがある。カラオケ(K)、ドラマ(D)、大幸システム(D)の頭文字を取ったもので、ヒット曲を生み出すための要素とされた。特に長戸大幸の考え出した広告会社や企業と直接提携し作品を制作するシステムは市場において圧倒的な強さを誇り、1993年には長戸の会社ビーイング所属のアーティストが売り上げ1位、2位、4位、5位を占めた(ビーイングブーム)。
2000年代

2000年代初期こそ「TSUNAMI」(サザンオールスターズ)や「桜坂」(福山雅治)をはじめとする200万枚クラスのヒットはまだまだ存在していたが、2003年の「世界に一つだけの花」(SMAP)を最後に200万枚を超える売上を記録した作品はなく、さらにここ数年はミリオンセラーそのものも減少している(オリコンの集計で2008年から3年連続でミリオンセラーとなったシングルがなかった)。これは、時代が「CD」や「レコード」という「音源記録媒体」を購入する時代から「音源そのもの」だけを購入するダウンロード販売に移行したことを示しており、音楽産業に限らないコンテンツ産業全体におけるデジタル化と高技術化の生んだ現象である。

2010年代

2010年になるとシングルはおろかアルバムもミリオンセラーとなる作品が少なくなっている(2010年発売のアルバムでミリオンを突破したのは2作のみ)。さらに2010年のオリコン年間シングルランキングはAKB48と嵐の2組のみでTOP10を独占するなど、アイドルグループとその他アーティストとの売上の格差が大幅に拡大した。

同義語

「ジャパニーズ・ポップス」という言葉(「ジャパニーズ・ポップ」とは言わない)が同じ意味で用いられる事がしばしばある。別途J-ROCKという言い方も内容的にはJ-POPと重なる意味で一時使われたがJ-POPの様には普及しないままとなっている。「日本の」という意味でJ-RAP、J-SOUL等何にでも「J-」を付ける使い方が一時期頻繁に見られた。現在はほぼ廃れている。方言としてZ-POP(ジーポップ)が有る。JFL系列のラジオ局ZIP-FM(愛知)とJFN系列のFMK(熊本)が用いる言葉で、局限定である事(ZIP-FMは放送エリアである名古屋周辺を「ZIP CITY」と呼ぶ)、局による選曲方針の違い等が有るものの、J-POPとほぼ同意義である。